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神戸地方裁判所 昭和52年(わ)151号 判決 1977年10月28日

本籍

尼崎市次屋字藤木四〇三番地

住居

西宮市北昭和町九番一〇号

会社役員

上治貞子

昭和一一年一月二〇日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について当裁判所は検察官宮森正昭出席のうえ審理をして次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一、三〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金一〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

起訴状記載公訴事実と同一であるから、これを引用する。

(証拠)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一一通及び検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官作成の左の者に対する質問てん末書

大久保喜代、井上和子(二通)、武内ひろ子、山下繁治、長岡弘子、梅内博一、田淵健三、渡辺花子、藤田裕久、鹿谷藤太郎、坂田英敏、上治義雄(二通)

一、村上友文作成の「償却資産の明細及各年償却の明細表」と題する書面

一、前田忠司作成の供述書

一、大蔵事務官作成の調査報告書(検甲39号、「調査元帳」の標題のあるもの)

一、右同作成の調査報告書(検甲38号、「事業主勘定元帳」の標題のあるもの)

一、右同作成の調査報告書(検甲37号、「株式等関係元帳」の標題のあるもの)

一、右同作成の調査報告書(検甲35号、「受取配当金明細表」の標題のあるもの)

一、右同作成の調査報告書(検甲36号、「47年~50年の各年度末の不明入出金の調査について」との標題のあるもの)

一、右同作成の所得税確定申告書謄本三通(但し、検甲2、3及び5)

一、右同作成の脱税額計算書三通(検甲6~8号)

一、右同作成の「現金預金存価証券等現在高確認書綴」と題する書面(確認書一一通添付)

一、右同作成の「現金預金有価証券等現在高検査てん末書綴」と題する書面(検査てん末書六通添付)

一、右同作成の「脱税額計算書説明資料貸借」と題する書面三通(自昭和四八年一月一日至同年一二月三一日自昭和四九年一月一日至同年一二月三一日及び自昭和五〇年一月一日至同年一二月三一日の期間のもの)

(法令の適用)

所得税法二三八条(懲役、罰金併科)、刑法四五条前段、四七条本文一〇条、四八条、一八条、二五条一項、刑訴法一八一条一項本文。

(裁判官 金山丈一)

起訴状

(公訴事実)

被告人は、昭和五〇年三月末ころまでは尼崎市下坂郡字北畑二六七番地の二に、同月末ころ以後は西宮市北昭和町九番一〇号に居住し、両市内及び伊丹市内並びに宝塚市内に教室を設けて小・中学生を対象とする学習塾「浜学園」を経営していたものであるが(昭和五一年四月二六日から「株式会社浜学園」と組織変更して代表取締役に就任)、右事業に関する所得の一部を秘匿していわゆるつまみ申告をし自己の所得税を免れようと企て

第一 昭和四八年分の実際の所得金額は二、一五一万八、四九〇円、これに対する所得税額は九四九万一、八〇〇円であるのにかかわらず、同四九年三月一三日、尼崎市西難波町一丁目八番一号所在の所轄尼崎税務署において、同署長に対し、自己の所得額額が八〇万円、これに対する所得税額が六万八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税九四三万一、〇〇〇円を免れ

第二 同四九年分の実際の所得金額は七、五三八万一、四七五円、これに対する所得税額は四、二八二万四、四〇〇円であるのにかかわらず、同五〇年三月一三日、同税務署において、同署長に対し、自己の所得金額が一五〇万円、これに対する所得税額が一四万八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税四、二六八万三、六〇〇円を免れ

第三 同五〇年分の実際の所得金額は九、九三六万二、五一三円、これに対する所得税額は五、九六五万九、〇〇〇円であるのにかかわらず、同五一年三月一五日、西宮市江上町三番三五号所在の所轄西宮税務署において、同署長に対し、自己の所得金額が四、六七〇万五、四七六円、これに対する所得税額が二、二五七万八、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税三、七〇八万三〇〇円を免れ

たものである。

罪名及び罰条

所得税法違反 同法二三八条

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